自己破産の要件
1.破産手続開始の要件
1.支払いが不能であること(破産法第15条第1項)
支払不能とは、債務者が支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期 にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態をいいます(破産法第2条第11項)。
支払不能か否かの基準として、
(毎月の収入-住宅費)÷3×36回(3年)< 負債総額
である場合には、通常、支払不能であるとされております。
この基準は、毎月の収入から住宅費を引いた額の3分の1程度は負債の返済に充てられるであろうということと、その金額を3年間程度であれば返済し続けられるであろうという考えに基づいております。この基準は法律上の基準ではありませんが、我々が破産の手続きを選択できるかを考えるときに目安として用いている基準です。
2.支払いを停止したこと(破産法第15条第2項)
支払いを停止した場合も支払不能にあるものと推定するとされており、この場合にも破産手続きが開始されます。
2.免責許可の要件
免責不許可事由が存在しないことが、免責許可の要件となっております。具体的な免責不許可事由は以下になります(破産法第252条第1項第1号~同項第11号)。
- 債権者を害する目的で、破産財団に属し、又は属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと。
- 破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担し、又は信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと。
- 特定の債権者に対する債務について、当該債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で、担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって、債務者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものをしたこと。
- 浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。
- 破産手続開始の申立てがあった日の一年前の日から破産手続開始の決定があった日までの間に、破産手続開始の原因となる事実があることを知りながら、当該事実がないと信じさせるため、詐術を用いて信用取引により財産を取得したこと。
- 業務及び財産の状況に関する帳簿、書類その他の物件を隠滅し、偽造し、又は変造したこと。
- 虚偽の債権者名簿(第248条5項の規定により債権者名簿とみなされる債権者一覧表を含む。次条1項6号において同じ。)を提出したこと。
- 破産手続において裁判所が行う調査において、説明を拒み、又は虚偽の説明をしたこと。
- 不正の手段により、破産管財人、保全管理人、破産管財人代理又は保全管理人代理の職務を妨害したこと。
- 次のアからウまでに掲げる事由のいずれかがある場合において、それぞれイからハまでに定める日から七年以内に免責許可の申立てがあったこと。
ア 免責許可の決定が確定したこと→当該免責許可の決定の確定の日
- 第40条1項1号(説明義務)、第41条(重要財産開示義務)又は第250条2項(裁判所・管財人による調査
イ 民事再生法(平成11年法律第225号)第239条1項に規定する給与所得者等再生における再生計画が遂行されたこと→当該再生計画認可の決定の確定の日
ウ 民事再生法第235条1項(同法第244条において準用する場合を含む。)に規定する免責の決定が確定したこと→当該免責の決定に係る再生計画認可の決定の確定の日
代表 弁護士 山川典孝
第二東京弁護士会所属
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新宿KGビル5F